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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」



最近何かと話題のweb小説のタイトル。通称は「魔王勇者」や「まおゆう」などと呼ばれています。
もとは2chVIP板のスレッドらしいのですが、書籍計画等といった話が立ち上がっています。自分もその噂で初めて知り、どのような作品なのかなと興味を 持って見に行ったのですが、あれよあれよと作品に引き込まれ、気がついたら暇な時間をこの作品を読むために費やしたくらい。
いろいろ語りたいことはあるが、自分の技工では語りきれないないこともあるので有名な人がまとめた記事を読んでもらい、まずは魔王勇者という作品に興味を 持ってもらいたい。
その上で自分の稚拙な評価なんかも読んでもらえると嬉しい。


さて、自分は上記の人たちのように上手く語ることは出来ないのですが、自分でもこの作品が凄いということはわかります。

一般的にファンタジーにおける作品というのは善悪の二元的に語られることが多いと思います。
しかし、魔王勇者はそうではないだろと、人間はそんな単純ではないだろと語りかけてきます。
魔王は経済学を専攻しているという設定なのですが、今まであった勇者と魔王の物語の裏にはこういう理由があったんだと、経済的な面から善悪の概念を壊して いきます。そこにはしっかりとした裏づけが存在し、なるほどとうなずくしか自分は出来ませんでした。
そうして善悪の概念を壊し、魔王は勇者に向けてこういうのです「あの丘の向こうには何があるんだろう?あの海の向こうには何があるのだろう?とわくわくし たことはないか?」と。
そして魔王と勇者は契約を交わし、新たな世界の救済へと物語が進み始めます。

また、この作品は読者を離さない演出作りがなされています。
始めは魔王と勇者の視点から語られていくのですが、青年商人とか魔王から教育を受ける弟子とかさまざまな魅力的な登場人物が登場します。彼らは魔王や勇者 と接触することでいつしか二人の理想に共感を覚え物語を左右する存在へと成長をする。いわゆる群像劇です。
あらかじめ言っておきます。群像劇であるがゆえにさまざまなキャラの視点から描かれるため、ものすごく長いです。
しかし、長いがゆえに上に書いたとおり読者を離さない工夫がなされています。
さまざまなキャラからの視点で描けるということを最大限利用し、軍事者が準備している間は商人たちが経済市場で世界を動かす一手をうち、軍事者たちが戦争 を行っている間商人たちはどうすれば儲けるか未来を見据える。彼らの物語りを上手く組合せ全体の物語に起伏作っており、読者を飽きさせないことに成功して います。
また、個別にスポットライトを当ててみると、そこには世界の荒波にもまれる一人の人間としての苦悩と成長が描かれています。それは魔王や勇者も同じです。
彼らは本気で悩み、幸せな未来を考え、自分たちの最善の行動を取ろうと努力します。
偶然からの不幸により異端と罵られたメイド姉の叫びや、生きることに精一杯だった自分に生き甲斐を見つけた傭兵隊長の生き様とか、人間ってこんなに素晴ら しい生き物だったのかと心打たれるシーンが多々ありました。
大きく見れば群像劇、キャラクターから見ればオムニバス要素を持っている。

壮大なストーリーでありながら、一分の無駄も見受けられないという作品なのだ。
まぁ、人によってはラブコメ要素がいらないという評価もあるらしく、人によっては必ずしも一分の無駄もないかといわれればそうではないのだが、自分にとっ てはラブコメ要素はいわば箸休めで、これもまた物語の緩急をつけるにいたっていると感じる。
こういった物語の構成の素晴らしさに自分は「うしおととら」や「428〜封鎖された渋谷で〜」といった作品と肩を並べるか、作品的長さで更に上を行くと思 いました。



あー、書き終わって見るとなんか自分ってこんな感じに書ける気がしないから、ほかの人の評価の影響受けてる気がするな・・・